昔その①

春のけだるい朝に溺れて目覚めた時は

ひっそりと周囲は沈み込んで

コーヒーの湯気さえたたずに

毛布にくるまって目を閉じれば

なつかしい想い出が横切る

枕もとのタバコに手を伸ばせば

煙は恋しい人の顔に似て

指を焦がすほど







私は私の あなたはあなたの

暮らしを大切にしたい

そう 今のまま 何も壊さないで

仲間と楽しく過ごして行けて

そして ふっと

お互いが必要になったら

そのときは2人胸を合わせて

涙を流したい

そんな風に過ごす 勇気を下さい







冷めたコーヒーを アイスコーヒーと呼ばないように

冷めた恋心を 気まぐれなんて言わないで

再び香りの戻らない琥珀色の海は

流してしまうしかないのでしょう

二人の恋は

ミルク色の春の雨に

消えていきます