手紙

あたり一面春の色に染まり始めました。

お元気ですか?

私は元気に毎日を過ごしています。

あなたの声を聞かない日々にも慣れて来ました。

お手紙ありがとうございました。

返事はいらないとのことでしたけど、どうしても書きたくなってしまいました。



あなたは思い違いをなさっています。

女の火種は消えることはありません。

いつまでも いつまでも 心の奥に残っているものです。

いまでも私の奥にちらちらと紅い火が見えませんか?

香りも癖もくちびるも 身体が覚えたままなのではありません、身体が忘れないのです。

向き合わなくては解らないとおっしゃいますか?

私はいつでも好きな人の顔を見上げています。

歩いている時も、時々みつめあい微笑みあって歩きます。

どちらかが転んでしまったら、そばで立ち上がるのを待っています。

本当に愛した男のためになら、女の本音はボロボロになることを厭いません。

そのために泣いて泣いて毎日を過ごす事になっても、後悔はないのです。

安定こそが男の本音でしょう。

あなたのお手紙こそが男の視点です。



琴線に触れそうでいて、どこを触っていいのか解らない。

そんなあなたのお手紙がとても嬉しかったです。

紅い花が咲いていました。



どうぞご自愛ください。