2009-05-30 恋 -恋- わが恋を人問ひ給ふ。 わが恋を如何に答へん。 たとふれば小さき塔なり、 礎(いしずえ)に二人の命、 真柱に愛をたてつつ、 層ごとに学と芸術、 汗と血を塗りて固めぬ。 塔は是れ無極の塔、 更に積み、更に重ねて、 世の風と雨に当たらん。 猶卑し、今立つ所、 天つ日も多くは射さず、 寒きこと二月の如し。 頼めるは、微かなれども 唯だ一つ内なる光 『与謝野晶子詩歌集』(弥生書房)